青空ライン~君が居た青春~


「波瑠、あのな……香は中2の冬に、ドイツで交通事故にあって……それで……病院に搬送されたけど……すぐに息を引き取ったんだ……っ。」
  

ドイツで交通事故……?!
まさか……留学してた……とか……。


「香さんは留学してたの……?!」


「あぁ……中1の秋に、ドイツに留学した。俺、その時入院してたんだけど、最後に会ったとき『はやく良くなりなよ、波瑠ちゃんはきっと待ってくれてるから』って言われた。」


りょーちゃんはそう言うと、ふっと笑って、懐かしむように空を見上げた。

……悲しくないの?
私はそう思ってしまった。

だって、りょーちゃんの今の顔……思い出を普通に語るような顔だもん……悲しそうな顔、全然してない……。


「ていうか波瑠……いつ俺が香のことが好きって言った?俺、好きじゃないんだけど……。」


えええっ?!
私はまた驚く。
……りょーちゃん、香さんのこと、好きじゃないの?!


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