青空ライン~君が居た青春~


「橘と一度、この進路について話したんだが……本人の意志は強くてな。メンバーに許可を一応もらって留学する、と言っていた。そして……。」


そう言って直山先生は言葉を詰まらせる。

りょーちゃんがstill king以上に、優先するのは演出家という仕事だけ。
意志が強くて当然だと思う。
演出家は、りょーちゃんの大好きなお父さんの仕事だったからっ……。

だからきっと、きっと……りょーちゃんは……。
私はりょーちゃんが留学して、なにをしようかなんてわかってしまったんだ。
本人に、聞かなくても……。


「りょーちゃんは、留学したらもう……戻らないつもりなんですよね……?」


君はいつも、前だけを見て。
誰にもとらわれずに、自分の気持ちを強く持っていたから。 


「……!神里、知っていたのか……?」


私の言った言葉に驚く直山先生。


「いえ、知りませんでした……。でも、りょーちゃんなら、そうすると思うんです。」


りょーちゃんは、誰にも言わずに……こんな進路を一人で決めていたんだね……。



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