青空ライン~君が居た青春~
――「ヘリを出すのは、やっぱり川村社長の息子の……遊佐、だっけ?」
――「そうだっ!こういうときに金持ちっていうところが役立つんだなっ☆」
俺はそんな話を流しながら、状況を整理していた。
そして、やっぱり波瑠ちゃんらしいなと。
「……い?……湊先輩!」
「……っあ、波瑠ちゃん……。」
「なんかずっとボーッとしてましたけど……大丈夫ですか?」
そう言って波瑠ちゃんは心配そうな顔でこちらをみている。
……こんな優しい波瑠ちゃんを、手放す遼の気持ちが、俺には理解できないけど……でも、遼のもとに、最後くらいは会わせてやれる。
二人のために、俺は……協力する。
「……ねぇ、波瑠ちゃん、このイベント、楽しみだよね~。」
「?……なんですか、そんなに改まって。……でも……そうですね、確かに楽しみです。」
そうやっていちいち突っ込みを入れてくれる波瑠ちゃんを、最後の最後まで、悲しい思いをしてほしくないから。