青空ライン~君が居た青春~
1通の電話
――あれから5年。
私は西園寺学院を卒業後、川村社長の事務所でプロデューサー兼会社の幹部として働いていた。
「あら、まだ残ってたの?」
「川村社長。……はい、まだ仕事が残ってて。」
「ふふ、遊佐もそう言って自販機の前でなんのドリンクにしようか悩んでたわぁ~。」
自販機の前でなんのドリンクにしようか迷ってるゆーちゃんなら、安易に想像できるなぁ。
「ゆーちゃんは大変そうですね……?でもアイドルもやって、モデルもやって、こうやって家を継ごうとしてるなんて……立派すぎて、尊敬しますよ。」
「そうねぇ、でも遊佐は私にとって、自慢できる子よ♪」
そうやって笑う川村社長は、本当に嬉しそうだった。
「あのね、波瑠。」
「はい?」
さっきとうってかわって、真剣な表情をした川村社長は、私に向かい直した。
誰にもぶれることのない、まっすぐな目で。