青空ライン~君が居た青春~

心の内


***


「いや~今日は思ったより早く仕事が進んでよかったよ!」


「ほんとだね~、やっぱり僕らも大人になったってことかな?」


「ま、ほとんどは波瑠のお陰だけどな。」


「いやいやっ、そんなことないって!」


そして僕達は今日の打ち合わせを終え、事務所のビルから最寄りの居酒屋に入った。


「やっほー、大将!今日もいつもの!」


そう言って浩輝くんはいつもの席に座る。
……ここは、僕達が仕事終わりによくくるお店で、大将とは仲がいいんだ。

そして僕らは座るとすぐに、大将がビールを持ってきてくれた。


「波瑠は1年間、忙しそうにしてたけど……何してたんだ?」


琉生くんはビールを一杯飲むと、そんなことを波瑠ちゃんに聞いた。
……確かに……気になる、かも。


「んー、1年間ねぇ、まぁ、プロデューサーの仕事には代わりないんだけど、still kingのアジアツアーのことでいろいろやってたし、大変だったかなぁー……。」


波瑠ちゃんの口からstill kingという言葉が出ると、僕は無性に遼くんのことが出てきてしまう。
遼くんは結局、今どこで何をしてるんだろう。
きっとなにかしら波瑠ちゃんは知っているんだろうけど、言いたくないだろうな。 

いや、もしかしたら、波瑠ちゃんは遼くんのことを……知りたくないとか……?


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