青空ライン~君が居た青春~

今更なにも言えない私は、ただただ俯いていると……いきなり、着信音が鳴り響いた。


「……っと、ごめん、ちょっと出るね?」


そう言って優斗くんはスマホを持って、会議室から出ていってしまった。

後から考えれば、この時間は……優斗くんがくれた、私の未来を考える……最後の時間だったのかもしれない。
でも私は、未来を考えることではなく……ただ、昔のことを思い返していた。

瞬時に切り替わっていく、昔の想い出。
そこに出てくるのは……ほとんどが優斗くんで。
今思い返してみれば……りょーちゃんが少し特別な感じで居ただけであって。
本当は……一緒にいた時間も、喋った時間も、慰めてくれた時間も、守ってくれた時間も。
優斗くんが一番だったんだ。

ずっと笑顔を見せてくれた優斗くんに、私はどれだけ救われただろうか。

りょーちゃんが亡くなってからも、ほとんど実感はわかないし、あまり生活になにかあるわけでもなくて、ただ心にぽっかり穴が空いた感じだったけど。

優斗くんが居なくなったら?
私は本当に生きていけるの?
どうやって過ごしていけるの?

想像するだけで怖かった。




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