派遣社員の孤独と憂鬱
それだけじゃなかった。

開店当初は、店を繁盛させて2店舗目、3店舗目と大きく広げていくつもりだったが、いつからか弱くなった僕は今の店を守ることだけに固執した。

つまり、自分の夢を叶えるために10年間走ってきた僕は、ひとつ城を持っただけで、今度はそれを守るだけになってしまった。

つまり、立ち止まってしまった。

やっぱりそんな人間に人としての魅力なんてあるはずもなく………、これからは悪循環のスパイラルで立ち直りようがなかった。

それでも、店の売上は経営を保っていけるくらいには順調でとりあえず毎日をやっつけていた。
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