ベビーフェイスと甘い嘘
何よ、仮面みたいな営業スマイルって!失礼な!!
強引で何を言っても話が通じなかったり、さらっと流されてしまうのはジェネレーションギャップってヤツなのかな……
世代が違うのはその通りだから気にしてもしょうがないんだけど、戸惑う度にはっきりと今の自分の年齢を自覚してしまう。
「これだから若い子は」なんて、愚痴をこぼすような人だけにはなりたくないんだけど。
「……柏谷さん、柏谷さん」
ぼんやりしていた私は、いつの間にか後ろに立っていた人物が私の名前を呼んでいた事に全く気がつかなかった。
「柏谷さん!」
ポンと肩を叩かれてようやく気がついた。
「……えっ?あっ、て、店長!」
いつから店の中にいたんだろう……
振り向くと、初花ちゃんまで店内に戻って来ていた。
「ちょっとシフトのことで相談したいので、スタッフルームまでお願いします」
「は、はいっ」
初花ちゃんが両手を握りしめて『頑張って!』という感じで送り出してくれた。
二人に直喜のことを見られていなかったか、どういう意味の頑張れなのか、そればかりが気になって仕方がない。
何を聞かれるんだろうとヒヤヒヤしている私に、店長は「来週の土曜日、朝日勤で出てもらえませんか?」と聞いてきた。
「えっ……ど、土曜日ですか?」
その質問に身構えていた私はほっと胸を撫で下ろす。