ベビーフェイスと甘い嘘

「茜さんはお姉さんでしょ?」

「うん。妹が一人。やっぱり分かる?」

「分かるよ」

私の目を見つめて微笑みながら直喜が言った。


「まず世話好きでしょ?で、人に頼るのが苦手そうな所がお姉さんっぽいよね。嫌な仕事でもニコニコしながら率先して引き受けてさ。高い所とか……手の届かない所にも、誰にも声をかけないで一生懸命背伸びして頑張ってるとことか見てて……危なっかしい人だなって、いつも思ってた」


……何それ。そんな事思われてたの?手の届かない所に背伸びしてた時なんてあったかな?


「この前は仮面みたいな営業スマイルだって言ってたくせに。それに、そんなに私が仕事してるところ見たこと無いでしょ?直喜、何か勘違いしてない?」


そう言い終わらないうちに「してないよ」と強い口調で言い返された。


「俺は茜さんの事をちゃんと見てるよ。茜さんは俺のことあんまり知らないよね」


直喜はずっと微笑みながら話かけている。


それなのに、なんだか責められているように感じてしまうのは気のせいだろうか。
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