ベビーフェイスと甘い嘘
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月曜日。朝のコンビニ。
出勤の準備を整えて鏡で身だしなみをチェックする。
ここまではいつも通り。
いつもと違う点は制服の下に着ているシャツのボタンをきっちり首まで留めていること。
もちろん他の人から鎖骨に付いた紅い跡が見えないように、だ。
「ねーさん、おはよ」
ふわぁ、と大きな欠伸をしながら九嶋くんがスタッフルームにやって来た。疲れきったその様子に、そろそろ疲れが抜けないお年頃になったのかな……なんて失礼なことを考える。
「おはよう、九嶋くん。ずいぶん疲れてるけど、大丈夫?」
「最近昼間忙しいから、夜勤前にあんま睡眠取れないんだよね……」
寝る時間も無いほど忙しいなんて。
他に仕事でもしてるの?……もしかしてお金に困ってるとか?
「あれ?ねーさん、その手どうしたの?大丈夫?」
ちらり、と九嶋くんが私の右手に目を向けながら言った。擦り傷を隠すために私の右手には甲から手首のほうまでガーゼが貼りついている。
九嶋くんの経済事情を考えていた私はいきなり自分に話が向いてちょっとだけ焦った。
「あっ、こ、これっ?大丈夫」
「でも右手怪我してるんじゃないの?」
心配してくれているのは分かったけど、あまり気にされると余計なことまで思い出してしまう。
「ちょっと擦れただけ。そんなに大した傷じゃないけどお客様には見せられないからね」