ベビーフェイスと甘い嘘

私のかき回さないでよ、という言葉に朝の光景を思い出したのか、芽依が顔を曇らせた。


「あーあ、すっかり勘違いしちゃった、恥ずかしい。もう茜ちゃんのコンビニ行けないじゃん」


「店長のほうだってお断りだと思ってるでしょ。あの後フォローするのにどれだけ苦労したと思ってるの」

それはごめんね、と軽く両手を合わせて謝りながらも、芽依の店長バッシングは止まらなかった。


「だいたいあんなイケメンで、遊んでる顔してる方が悪いでしょ」


きっぱりと顔だけで店長を遊んでるヤツ扱いした芽依は、自分の勘違いは反省しても、失礼な態度に対して反省する気はさらさら無いようだった。


「怪我のことを何も聞かないでって言ったのは悪かったけど、あんな風に突撃されるとは思わなかった……」


明日もまた店長と一緒の勤務だ。朝の騒動とこれからの事を思うと、溜め息が止まらない。


その素直さが羨ましくなるほど、芽依は真っ直ぐだ。


突撃した過去を思い出したのか、芽依はちょっとだけばつの悪そうな顔をした後で、急にニヤニヤと笑い始めた。
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