ベビーフェイスと甘い嘘

「ちょっと何よ、気持ち悪いな」


「だってさー……まさか茜ちゃんが職場以外の所で男と知り合ってるなんて思わなかったもん。コンビニ以外考えもしなかったよ」

うっ……

それを言われると……


「で、どうだったの?」

「なっ……何が?どう……って?」


「だからー、年下の男とのセックス」


はっきりと言葉に出されて、顔が熱くなる。


今まで姉妹でこんな会話はしたことがないから、死ぬほど恥ずかしい。

あわあわと動揺して言葉を出せないでいる私を見ながら、芽依はフフッと微笑んだ。

「茜ちゃんってばさぁ、真面目すぎるから思いきった方向にたがが外れちゃったんだろうねぇ……」

前に、九嶋くんにも同じような事を言われた気がする……

「ま、修吾さんの浮気は置いといて。どうだったの?茜ちゃんの『はじめての浮気』は」


「……おつかいみたいに言わないでくれる?」


さらりと、何でもない事のように聞いてくる芽依に、驚きを隠せなかった。


「……芽依」

「何?茜ちゃん」

「どうして、私のこと軽蔑しないの?」

誘われるままに夫以外の男と関係を持った私のことを、芽依は絶対に軽蔑するだろうと思った。

狡いのかもしれないけど、軽薄な姉だと思われてしまいそうで……芽依だけにはそう思われたくなくて、何も聞かないで欲しいと言ったのだ。
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