ベビーフェイスと甘い嘘

「何言ってんの。男のとこに出入りしてるなんて分かっちゃったら離婚、不利になるに決まってるでしょ」

「直喜のことだって、バレてないんだったら余計な事言っちゃダメだよ。あと、会うのも絶対にダメだから」


「会わないわよ。……連絡もないから」


「そこは『九嶋くんに言われなくてもそうするわよ』って言うとこじゃないの?そんな寂しそうな顔しちゃって……ほんとに、もー」


呆れたように言われてしまった。


「ねーさんってほんと危なっかしいね。離婚の話し合いも、旦那に言われるまま流されちゃダメだよ。身軽になったら、もうちょっとゆっくり考えられるようになるって。……直喜のことも」


「……そんなもんかな?」

「それまではキツくても、顔色明るくして何でもないよって感じで余裕な顔して旦那に隙を見せないようにするんだよ」


「……それで、チーク?」


「まぁ、それだけじゃないけど。でも、ずっと顔色悪かったでしょ?」


「ありがとう。……私そんなに顔色悪かった?」


「朝しか顔を合わせない俺でも分かるくらいにはね。最初は直喜が原因かなって思ってたけど、何だか違うなって」


感情を見せずに、淡々と仕事をこなしてたつもりだったけど、バレバレだったんだ……
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