ベビーフェイスと甘い嘘

***

「あれ?ヨーヨーのお店……どこだったっけ?」


翔の手を引いて、坂道の3分の1ほどを降りて来た所で立ち止まる。

ここから駐車場に向かう道と、市立図書館へと降りて行く道と、二手に別れてそれぞれまた出店が連なっている。

さっきまでは先を急ぐ子ども達を追いかけるだけで精一杯だったので、どこに何の出店があるのか、何となくしか覚えていなかった。


「え?ねーさん場所分かんないの?駐車場から登って来てすぐのとこにあったよ」

「そうだよ、ママこっち!」

「うーん……そうだったっけ?」


そう言われても全然思い出せない私を見て、九嶋くんと翔は顔を見合わせて笑っていた。


「翔、ママって方向音痴なの?」

「ほうこうおんちってなに?」

「すぐ迷子になっちゃう人のこと」

「うん。ママったらね、レインボータウンですぐまいごになっちゃうんだよ」


「ちょっと!翔!」


確かにショッピングモールだと、あっという間にどこに何の店があるか分かんなくなってウロウロしちゃうけど……
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