ベビーフェイスと甘い嘘

「こちらの綺麗なおねーさん達は、柏谷さんのお友達ですか?」


「私達は茜ちゃんの元の職場の同僚なの。私が坂井でこっちが湊。茜ちゃんは妹みたいなものだからつい気になっちゃって。……詮索しちゃってごめんね」

「そうそう。いつも妹がお世話になってます」


二人が長女と次女になりきって、挨拶をしてくれた。


九嶋くんのリップサービス込みの挨拶におねーさん達の誤解も解けたようで、すっかり和やかな雰囲気になった。


「裕子姉さんと千鶴ちゃんは、二人で花火見に来たの?」

二人きりで出掛けるなんて、珍しいなと思って聞いてみる。


「ううん。奈緒美ちゃんも一緒に来たんだけど人混みにちょっと酔っちゃってね。まだ上で座ってるのよ。旦那さんが来てくれるって言うから、私達が駐車場まで迎えに行こうかと思って先に降りて来たの」


「えっ?!大丈夫なの?だったら早く駐車場まで行かないとだめだよ。裕子姉さんも千鶴ちゃんも、こんなとこで和やかに話してる場合じゃないでしょ?」


焦る私に千鶴ちゃんはスマホをひらひらさせて「もう落ち着いたみたいよ。これから降りて来るって」と教えてくれた。


それを聞いて安心したけど、ここまで一人で下りて来るってことだよね……それも危ないんじゃない?
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