ベビーフェイスと甘い嘘

「あのさ……俺、この話聞いてよかったの?ユウタくんって『旦那のいとこの子』……だよね?」


しばらくして、何かを察した九嶋くんが言いにくそうに聞いてきたけど……


「しょうがないよね……」


そう言うしかなかった。


九嶋くんにはいつも恥ずかしい所を見られたり……見抜かれたり……私のプライベートな部分に思いきり巻き込んでしまっている。


……わざとじゃ、ないんだけど。


「なんか……ごめんね」


申し訳なくて、何となく謝ってしまった。


「何でねーさんが悪くもないのに謝るの?ねーさんさえ良ければ何でも話していいから。……芽依さんはいるけど、友達少なそうだしね」


友達うんぬんは……耳が痛いところだけど、話していいよと口にしてくれたことが嬉しかった。


直喜との関係を聞かれて最初に話をした時なんて、悪魔みたいな人だって思ってたのにね。


「嘘でも、真実でも、人の口に戸は立てられないってコト。無責任な噂や嘘で傷つく前に、この事はきっちりと確認したほうがいいよ」


別れ際にそうアドバイスをくれた後で、ふと思い出したように「あっ、俺も確認したい噂があったんだよね」と口にした。


そのまま手招きをされて、何?と思いながら顔を近づける。
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