ベビーフェイスと甘い嘘
「うわっ、何で赤くなってんの?……まぁいいや。とりあえず熱下げないと。ほら、眼鏡外して。はい、薬飲んで。これも飲める?」
ピタン、と額と頬に冷却シートを貼られて、錠剤と水の他にスポーツドリンクまで渡された。どうやらコンビニで買ってくれていたようだ。
「はい、横になって」
やっぱり、子どもになったみたい……。それでも怠さには勝てずに素直にベットに横になった。
「頬と身体は打撲だから冷やしたほうがいいって……店長が言ってたから、後で湿布を買って来るから」
「店長」と言った時に、何故か九嶋くんはちょっと不機嫌そうな表情になっていた。
「昨日、ろくに寝てないんじゃないの?顔色悪いし。少しだけ眠りなよ」
そう言って、そのまま立ち去ろうとした九嶋くんのシャツの裾を思わずつかんでしまっていた。
「ん?どーしたの?」
『寂しい』
九嶋くんが部屋を出て行こうとしたのを見て、一瞬だけそう思ってしまったなんて、恥ずかしすぎて口には出せなかった。
そんな私を見て何を思ったのか……
すとん、とベッドの横に腰を下ろして、九嶋くんはそっと私の頬に触れた。