ベビーフェイスと甘い嘘

「……かねちゃん、茜ちゃん」

次に目を覚ました時、目の前にいたのは芽依だった。



「め……い?」


何度も言うけど……ここ、九嶋くんの部屋で合ってるよね?


「どして……いるの?」


何で九嶋くんの家まで知ってるの?……そもそも、どうして九嶋くんと連絡を取り合ってるの?


「茜ちゃん、今13時。迎えに来たよ。調子は?起きれそう?汗かいてない?」


どうやら質問に答える気は無さそうだった。


「くしまくん……は?」


話しながら、さっきよりはだいぶ声が出しやすくなったと感じていた。汗をかいたから、熱もだいぶ下がったのかもしれない。


あれ?でもさっきのは夢だから……声が出しにくかったのも気のせいだったのかな。


「ねーさん、大丈夫?」


寝室のドアが空いて、九嶋くんが入って来た。手にはビニール袋に入ったタオルが見える。


「さ、茜ちゃん着替えるよ。脱いで」


タオルを受け取りながら芽依は私の長Tの裾に手をかけた。



「ちょ、ちょ、ちょっと、待って」


まだ九嶋くんもいるのに。



< 283 / 620 >

この作品をシェア

pagetop