ベビーフェイスと甘い嘘
「茜ちゃんも騒がしいわが家で寝るより、よっぽど休めたんじゃない?……しかし、広いベッドだよねー。部屋の間取りも広さも、ファミリー向けっぽいし。智晶ちゃん、ほんとにここで一人で暮らしてるのかな?」
確かにベッドは、独り暮らしにしては広いと思う。普段私が翔と一緒に寝ているセミダブルのベッドと同じくらいに見えた。
間取りだって、これくらいの年の子の独り暮らしにしては広すぎる。家賃だってそこそこするだろうに。
「あんまり詮索しちゃダメだよ」
人のことは言えないけど、芽依があんまり興味津々に話すから、やんわりと釘を刺した。
「ねーさん、着替えた?入ってもいい?」
トントン、と絶妙なタイミングでノックの音がした。
聞こえちゃったかな……
芽依と二人で顔を見合わせた。
「何二人して固まってんの?」
「あ、いや、別に……」
「智晶ちゃんってさー、彼女とかいないの?」
「ちょっと、芽依!」
なんてストレートな質問を!
「はぁ?いきなり何?」
何言ってんの?と言いたげな顔で私達を見ている九嶋くんに、さらに芽依は遠慮のない質問をした。
「だってここ広いじゃない?彼女と二人で住んでるのかなって思って。ベッドだって大きいし」