ベビーフェイスと甘い嘘
二人は猫好きだから気が合うのかも……しれない。
全く会話に付いていけない私を見つつ、二人は顔を見合わせて笑っていた。
***
まだ熱が下がりきらなかった私は、芽依の車で帰ることになった。
「ねぇ、茜ちゃん」
「何ー?」
「……智晶ちゃんが一緒に住んでたのって、奈緒美さんなのかなぁ」
「……」
私も、何となくそう思ってた。
奈緒美ちゃんが勇喜さんといつから付き合ってたかは分からないけど、九嶋くんも奈緒美ちゃんと付き合った時があって、別れた時に色々あったのなら……
勇喜さんの親友のチヒロさんが、勇喜さんと奈緒美ちゃんの味方になったから、兄弟が仲違いしてしまったのかもしれないし、事情を知ったヤスさんが二人を『still』に来ないでくれ、と言ったのかもしれない。
何より直喜が、『狡いけど、どっちの気持ちも分かるから俺は中立』。そう言っていたのも説明がつく。
「……かねちゃん、茜ちゃん。聞いてた?」
「……ごめん、芽依。考え事してた」
「大丈夫?目が潤んできてる。家に着いたら、横になんないとダメだよ」
「……うん」