ベビーフェイスと甘い嘘
あんなに必死に動揺してるのをばれないようにしてたのに、見抜かれていたなんて。
「大体さぁ……奈緒美ちゃんがいきなりマシンガントーク始めてもさ、普段の茜ちゃんだったら、隣にいる人が知らない人でも目を合わせて会釈ぐらいはするでしょう?」
「それに、知らない人でもなかったし、奈緒美ちゃんの弟だって聞いてるんだもの。挨拶するタイミングが無くても『結婚式で見かけたかなぁー』なんて思いながらチラチラ見たりしない?……少なくとも、私ならそうすると思って」
「奈緒美ちゃんが双子を妊娠してるのだって、直喜くんから聞いてたんじゃないの?……あれからずっと考えてたんだけど、やっぱり結婚式の時にはそんな話をした覚えが無かったんだよね」
……千鶴ちゃんの洞察力には脱帽だ。
「じゃあ……みんなも気がついてたのかな?」
「安心してよ。誰にも言ってないから。たぶん気がついたの私だけだと思うし。……祐子ちゃんはほら、ああ見えて結構そういうのに疎いし、奈緒美ちゃんのほうは、直喜くんがうまーく誤魔化してたしね」
気になることをとことん突き詰めるその性格は芽依にとても良く似ているけど、彼女には場を読むというスキルが備わっていたらしい。
とにかく、その場では黙っていてくれた千鶴ちゃんに感謝した。
「ねぇ茜ちゃん。直喜くんって本当に配達の時にコンビニに寄ってるの?二人は……いつからそういう関係になったの?」