ベビーフェイスと甘い嘘
この前コンビニに来た時にも感じたけど、やっぱりスーツを着ていた時よりも若く見える。
軽く手を振りながら笑顔でやって来た彼に冷ややかな視線を向ける。今日は脅されて、仕方なく待ち合わせたようなものだ。
ナオキには何も聞かず、注文を取りに来た店員さんに「ブレンドとホットミルク」と告げて、私はすぐに本題に入った。
「ねぇ……どういうつもりなの?私はね、あの日限りだと思ってたの。あなただってそのつもりに見えたけど」
「名前だって知らなくてもよかったし。だからわざわざあなたがこうして私の前に現れる意味が分からない。私達ってこれからも会う必要があるの?」
聞きたいことは山ほどあったけど、まずこれを確認しないと話が始まらない。
会う必要が無いんだったら、これ以上この人のことは知らなくてもいいんだから。
私の質問に、ナオキは相変わらず綺麗な目で私をじっと見て……そしてうーん、と小首をかしげながら答えた。
「俺もね、最初はあの日だけのつもりだったんだよね」