ベビーフェイスと甘い嘘
「……ママー。ねぇ、ママ?」
「ママってば!!」
「あっ……えっ?何?、どうしたの、翔?」
いつの間にか、リビングのソファーに座っていたはずの翔が目の前に来ていた。
「さっきからずっとピンポンピンポンなってるよ?でなくていいの?」
「……へっ?」
ピンポーンーー
「えっ!ずっと?鳴ってた!?……はいっ、はい!今出ます!!」
***
「俺に居留守を使うとはいい度胸してるな」
「すみません……そんなつもりじゃなかったんですけど」
「わぁ!おいしそう!いただきまーす!!」
「熱いから気を付けて食べてね、翔くん」
翔の目の前には、いつの間にか美味しそうに湯気を立てたオムライスが置かれていた。
……おかしいな。
さっきまで、私は自分の部屋で晩ご飯の仕度をしていたはずだ。
それがどうして事務所で店長とオーナーと一緒に食卓を囲んでいるんだろう。
どうしてこうなった?