ベビーフェイスと甘い嘘
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防犯カメラの映像を見た事を口にして、驚いたり動揺したりしたら、今までの嫌がらせは全部灯さんのした事だっていう証拠が掴みやすくなるはずだ。
事実、防犯カメラに映っていたのは灯さんで間違いないだろうし……今、言葉を無くしているのが何よりの証拠だろうと思う。
「灯さんなら、今私が言ってることの……意味が全部分かるんじゃない?手紙も、電話も、防犯カメラも」
「ーーな……っ」
彼女の表情が、みるみる怒りを帯びたものに変わっていった。
灯さんは今、自分より下だと見下していた女にいきなり噛みつかれたのだ。
私に嫌がらせをする必要のない立場にいる彼女がどうしてこんな事をしたのか私には理解できないけど、相当苛立っている事だけは分かる。
「……なさいよ」
「……何?」
「修吾くんと別れなさいって言ってるのよ!!」
ーーダンッ!!
怒りに任せて拳が叩きつけられたテーブルが、派手な音を立てた。
お嬢様育ちの彼女が……こんなにも怒りを顕にしているのを見たのは初めてかもしれない。
カウンターの奥にいた店員が、何事かとこちらの様子を伺っているのが見えた。
「何よ、偉そうに!!修吾くんにいつまでもすがってみっともないと思わないの!?あなたみたいな地味でブスな女が愛される訳が無いって、いい加減気がつきなさいよ!!」
「修吾くんが愛していいのは、私だけなんだから!!」