ベビーフェイスと甘い嘘
でもこんな整った顔の人、一度見たら絶対印象に残ると思うんだけど……
どんなに考えても彼が店に来た記憶がない。
「配達中に来て私の事までじっと観察してるなんて……あなたってよっぽど暇か、真面目に仕事してないのね」
そんな風に話しながらも一生懸命記憶をたどっていると、ナオキは意外なことを言い始めた。
「今はね、アカネさんと身体だけの関係になろうなんて思ってないよ。俺ね、アカネさんのことをもっと知りたくなっちゃった」
興味があるんだよねぇ。……いろいろと。
悪魔はそう言ってニヤリと笑った。
子どものような純粋な目をしているくせに、言っていることは実に不純でめんどくさい。まだ身体だけ、と割りきってもらったほうがマシなのに。
やっかいな男に気に入られちゃった……とげんなりした。
「……しばらくはオトモダチってこと?」
ため息を吐きながら口にした私の問いに、ナオキが答える。
「だって、まだ身体の関係はないからセフレじゃないし。セックス抜いたら、ただのフレンド……でしょ?」
そう言うと、ナオキはこう質問を返してきた。
「ねぇ、アカネさん。どうしてあの時あんなに泣いたの?」
「……」