ベビーフェイスと甘い嘘

分かり切ってる事なのに……


私が、こんなにショックを受けているのはおかしい。


おかしいのに……


***

『pastel』を飛び出してから、マンションへ戻る気持ちにもなれずに、気がついたら図書館の裏手にある遊歩道へと足が向いてしまっていた。



「何でこんな所まで来ちゃったんだろ……」



司書の仕事を辞めてからは、この場所に来る事は無くなっていた。


仕事でミスをした時に、いつもこの道を歩いて気分転換をしていた事を思い出す。


どんなに思い通りにいかない事があっても、ここを歩いてたまにベンチに腰かけて好きな本を読んだりして……


そのうち気持ちが前向きになって、また頑張ろうって、そう思うことができた。


あの時と同じように、ここにいたらまた頑張ろうって思える?


だから、私はここに来たの……?


ふらふらと、ベンチに近づいて腰を下ろす。


「……」


……思えない。


「頑張ろうなんて……思えるわけないよ……」


もう、立ち上がる気力なんて沸いてこない。


「私が……悪いの?」


後悔の言葉が口を衝いて出る。


もう愛することも、愛されることも諦めたはずなのに。
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