ベビーフェイスと甘い嘘
「あ、九嶋ちゃんから聞いた訳じゃないんですよ。何となく、そう感じてたんですけど……間違ってないですよね?」
赤くなっていく私の顔を見て、鞠枝さんはニコッと笑いながら、そう言った。
「もちろん、気持ちに応えてあげてって言うつもりはないですよ。茜さん、人妻ですしねー。でも、私九嶋ちゃんの友達だから、アピールだけはしとこうかと思って」
「今の九嶋ちゃんは昔の九嶋ちゃんとは違うけど……でも最近は昔みたいに楽しそうにしてるなって思ってました」
「私、善ちゃんが出張でいなくてどうしようもなく寂しくなった夜に、よくサンキューマートまで散歩してたんですよ。九嶋ちゃんには、危ないから止めなよっていっつも怒られてたんですけどね」
鞠枝さんの送別会に九嶋くんを呼べなかった事を初花ちゃんが謝っていた時、確か九嶋くんは『鞠枝ちゃんにはまた会えるでしょ?』と言っていた。
それから鞠枝さんをお店で見かけた事は無かったけど……そっか、夜に来てたのか。