ベビーフェイスと甘い嘘

二人がそんなに仲が良かったなんて、ちょっと意外だった。


そんな風に思ったのが、伝わってしまったらしい。


「九嶋ちゃんは、元々お兄ちゃんと仲が良かったんです。私のメークも九嶋ちゃんから教えてもらったんですよ。……茜さん、メーク変わったでしょ?九嶋ちゃんと仲良くなったんだなーって思ってました」


そう言えば、仕事仲間は全員名字で呼ぶ九嶋くんが、鞠枝さんの事だけは『鞠枝ちゃん』と呼んでいる。


それは『生方さん』が二人いたからだったんだ、という事に今更気がついた。


「……まぁ、茜さんは、九嶋ちゃんの名前を聞いただけで、あれだけ焦っちゃうんだから……仲良しなだけじゃなくて、何かあったんだなってのは私だけじゃなくて、お兄ちゃんも気がついてましたけどね」


「だいたい、九嶋ちゃんのほうは全然隠して無かったし……って、茜さん、顔真っ赤!」



「茜さんが可愛いのって見た目だけなのかなって思ってましたけどね。ふふっ。九嶋ちゃんが色々と構いたくなっちゃう気持ち、分かるなー。可愛いなー」


『可愛い』なんて鞠枝さんが言うから、ますます頬が熱を持ってしまった。


「あんまりからかわないでよ……」


< 406 / 620 >

この作品をシェア

pagetop