ベビーフェイスと甘い嘘

「ほんとに……色々すみません」


拓実さんがまた謝る。その『すみません』には色々な意味があるのだけど、翔には聞かせたくなかった。



修吾からは相変わらず連絡が無い。


灯さんと会った事だって、絶対知っているはずなのに……


それとも、もう既に私達の事なんてどうでもよくなっているのか。


灯さんとの事があってから、自分から修吾へ連絡を取ろうという気力が全く無くなってしまった。


このままでは駄目だと思うし、早く話し合わなければますます拗れていくのも分かっている。


だけど、スマホを手に持とうとしただけで、灯さんの言葉が頭の中に蘇ってきて、そこからどうしても身体が動かなくなってしまうのだ。


「あいちゃん、かけっこだれとはしるの?」


「るーちゃんと、みあちゃんと、すずちゃんとー」


「……みんなしらない。ひろくんは?」


「おとこのことは、いっしょにはしらないよー」



今まで楽しそうに亜依と話していた翔の表情がだんだんと曇っていく。

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