ベビーフェイスと甘い嘘
どうしようもなく惹かれてしまう
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「……自分から折れたほうが『仲直り』はしやすいんじゃないんですか?って聞いてみたんですけどね……『ケンカなんかしてない。元々何も無かったんだから』って、言われちゃいましたよ」
「はぁー。それはまずいなぁ。……で?初ちゃんは何て?」
「『もう私に興味が無くなったんですよ』って」
「……それはまた、だいぶ拗れてるね」
「なぁ、茜ちゃん。それで初ちゃんは……」
「……あの、もうお店戻ってもいいですか?吸い殻片付けに来ただけでこんなに時間かけてたら、さすがに初花ちゃんに怪しまれますよ」
「冷てぇなぁ、茜ちゃんは。ツンデレってヤツかい?」
「ツンツンしたつもりも無いですけどね。そもそも、何でデレなきゃいけないんですか。……ほんとに、もういいですか?お店混んでたらまずいですし」
「今の時間なら大丈夫だって。ね、ね、柏谷さん。それでーー」
「ーーもう!二人とも、いい加減にして下さい!!そんなに心配だったら、こんな所でこそこそ私に話掛けてないで、初花ちゃんに直接声を掛けてあげて下さいよ!!」
本気で私が苛立っている事を素早く察した二人組のうちの一人……元オーナーの生方さんは、慌ててお店の中へと入って行った。