ベビーフェイスと甘い嘘

その瞬間、ホテルに向かう車内で同じように手を繋がれたことや、抱き締められた時に全身で感じた肌の感触まで思い出して一気に頬が熱くなった。


「アカネさん、顔赤いけどどうしたの?……もしかしてこういうのあんま慣れてない?」


「慣れてないよ。いい歳しておかしいと思ってるでしょ?」


取り繕うのも面倒で、正直にそう言った。修吾とだってこうして手を繋いだことなんて無い。

きっと熱いと感じる頬は、真っ赤に染まっているはずだ。


ナオキはそんな私の様子を見てにっこりと笑った。


「そんな事ないよ。……アカネさんって、やっぱり可愛い人だよね」


「からかわないでよ」

「からかってないよ。ほんとにそう思っただけ。俺、嘘はつかないから」


……何よそれ。
嘘はつかない?それがもう嘘でしょう。


「もう分かった。……で、今日はどこに行くの?」

「まず、ここを出ましょうか。俺たち結構目立ってますよ」


言われてはっと回りを見る。
入口近くで手を繋ぎながらこんな会話をしていたのだ。出入りするお客さんにも、レジにいる店員さんからも私たちの様子はしっかりと見られていた。


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