ベビーフェイスと甘い嘘

「……茜ちゃんと直喜くんってまだそういう関係じゃなかったの?……今も?」

「あ、知らなかったんだ。そうだよ。でもね、そこ大した問題じゃないから。見知らぬ男といきなりホテル行っちゃったって時点で茜ちゃん的にはもうヤッちゃったのと同じ」


「そりゃ、茜ちゃんはそうかもしれないけど……よく我慢したわねー……やっぱりよく分かんない人ね、直喜くんって。…………うーん、好きな人の結婚式から逃げちゃうくらいやけになってたんじゃないかなって思ってたけど……違うのかな?その気だったけど、急に冷めちゃった……とか?でも、そうだったら、その後でわざわざ会いになんて来ないわよねぇ……」


千鶴ちゃんはそこまで話すと、急にまたけらけらと笑い出した。


「あー、ダメダメ。ここでこんな妄想してたって答えなんて出ないわ。さっき気持ちなんてその人に直接聞かなきゃ分かんないって言ったばっかりなのに。これじゃ、『ウサミ』でペラペラ喋ってるおばちゃん達と同じだよね。あー、嫌だ嫌だ」


嫌だって言っているくせに、何故かずっと笑っているから、芽依と二人で思わず吹き出してしまった。


クスクスと身体を揺らして笑う度に、ふわふわと心地良い気持ちになっていく。


私も久しぶりのアルコールが回って、酔ってしまったのかもしれない。

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