ベビーフェイスと甘い嘘
『愛してない』けど『愛してる』
「ーー初花ちゃん。ちゃんと寝てる?ちゃんと食べてる?あぁ、もう!昔に戻ったみたいじゃない!どうしたのよ?」
「ほら、何でも頼みなさい!」
エリア会議から一ヶ月以上が経っていた。
だけど、顔色が悪いのを通り越してまるで幽霊みたいに生気の無い顔色で、それでも淡々と仕事だけをこなしていく初花ちゃんの事が心配でたまらなくなった私は、とうとう行動に移す事に決めたのだ。
仕事終わりの初花ちゃんを、約束なんかしていなかったのに奢るから!と強引にコンビニ近くのカフェへと引っ張って行った。
『茜さんって……こんな強引な人だっけ?』
そんな初花ちゃんの心の声が聞こえるようだ。
初花ちゃんは目の前に広げたメニューに見向きもせずに、まじまじと私の顔を眺めている。
……私だってらしくないと思ってる。だけどケンカの原因も分からず二人の仲を取り持つ事も出来ない私には、この方法しか思い付かない。
「…………とりあえず、何でもいいからお腹に入れるの!」
「お腹がいっぱいになったら眠くなるでしょ。……そしたら嫌な事も、辛い事も、頭に浮かぶ前に眠れるかもしれないから」