ベビーフェイスと甘い嘘
「茜さん……」
今までぼんやりとしていた初花ちゃんの目が少しだけ生気を取り戻したように見えた。
らしくない事をしている恥ずかしさで、段々と頬が熱くなっていくのを感じる。……だけど、これだけはちゃんと伝えなくちゃいけないし、逃げちゃいけない事なんだと思う。
芽依様、鞠枝様、千鶴様。私に『自分の気持ちに正直で強引』という力を貸して!
「……初花ちゃんとは長い付き合いだし……こんなに青白い顔してるのに、それを放っておけるほど私は冷たい人間じゃないの!」
「今までは付き合いが良くなかったことは認めるけどね。もう、そういうのはやめたの。初花ちゃんのことは特別だと思ってるし……できれば力になりたい」
「何があったとか聞きだしたいんじゃないの。あなたたちが、単に好き嫌いで悩んでる訳じゃないのは何となく分かるから。でもね、私は初花ちゃんの味方だからね。……忘れないで」
一瞬だけ泣きそうな目をした後で、初花ちゃんは「今日は、お言葉に甘えてごちそうになりますね」とにっこりと笑った。