ベビーフェイスと甘い嘘
……知らなかった。


直喜は出会った時から、いつもどこか飄々としていて、掴み所が無くて……


何かに執着したり、本気で向き合う事なんて無いんだろうって、勝手にそう思っていた。


前に、同じように涙を誰にも見せないでって言われた時だって……


いつもと違って必死に言葉を繋ぐ様子に驚きはしたけれど、私に対して気持ちがあるからだとは思いもしなかった。



…………だから、



……こんなに想われていたなんて、知らなかった。



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