ベビーフェイスと甘い嘘
意味深な言葉に、思わずぐっと息を呑むと、


「直喜ちゃんだけだと危なっかしいし……しょうがないから、私も茜さんの味方になってあげます」


奈緒美ちゃんは、そう言ってニヤリと笑った。



「あんなバカ男とはとっとと別れて、あのアホ女に熨斗付けてくれてやればいいんですよ」



「今ね、直喜ちゃんの周りを週刊誌の記者とかがウロウロしてるんです。家族も含めて、色々詮索されて好き勝手に書かれたら堪んないし……茜さん的にも良くないでしょ?」



「もし、直喜ちゃんに会いたくなったら、名前とかどうすればいいとか、一切書かなくていいです。私のLINEに『会いたい』って一言入れて下さい。……もちろん、会いたいってスッキリ言える状態になってからにして下さいね、ってのは言わなくても分かりますよね?」



離婚の決着がつくまで会うなって事だよね……



たぶん同じ話を、奈緒美ちゃんは帰ったらすぐに直喜にも言うんだろうな。



なら、暫くは会うことも……連絡を取り合うことすら許されなくなる。



きっと、コンビニに来る事も無くなるはずだ。




それでも、心細くなったり不安な気持ちに襲われないのは……直喜の気持ちをしっかりと確かめる事ができたからだと思う。

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