ベビーフェイスと甘い嘘

『Milkyway』のバリスタさんは、銀縁眼鏡が似合うなかなかのイケメンだった。


それに、とても気が利く人だと思う。


さっき初花ちゃんが注文する時、何やらバリスタさんに耳打ちをしていた。


「あぁ。それなら、あの席に座るといいよ」


すると、彼はすぐにそう言って、カウンター席より少しだけ奥にある席に案内してくれた。


たぶん、初花ちゃんが私に何か大切な話があるからって事だけを聞いて、すぐに一番話を聞かれにくい席を教えてくれたのだろう。


その席は、カウンターからは背の高い観葉植物が目隠しになっていて、他の席とは適度に距離があり、外の大きな窓からは死角になる場所にあった。






……初花ちゃんと話をした後、場所を変えようかと思ってたけど。



これなら、大丈夫そうね。


もう『Pastel』には顔を出しづらいから、どこで話をしようかと迷っていたのだけど。



初対面なんだけど、あのバリスタさんなら初花ちゃんにしてくれたのと同じように気を遣ってもらえそうな気がした。



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