したくてするのは恋じゃない


結局、掃除はいつも通り程度で終わらせる事にした。
やっぱり直ぐにくじけてしまったからだ。

ちゃんとしたいのにズボラになる癖?があるから、最初から、極力、物を置かないようにしている。
結果、必要最低限の物だけで暮らしている。こうしておくのが一番。あっさり?した部屋である。


午後、いそいそとお店に向かう。
勝手に見た夢とはいえ、あんな後でマスターに会って大丈夫かな。

「こんにちは」

「いらっしゃい、よく眠れた?」

「へっ。ぇえー?」

なんでそんな事聞くのー。

「よく見ないと解らないけど、ここ…」

頬に手を当てられた。

あ、いや、これってまさか。
勝手にドキドキしていた。

「痕が付いてる。布団か…枕かな?線が。薄くだけどね」

……プシューって音がしそうなくらい顔から火がでそう。仕方ない。ここは正直に、開き直るか。

「はい、お気づきの通り。何だか寝過ぎてしまいました」

「……素直でいい子だね。
そんな線なんて、元から無いよ?…ごめんね」

「えーっ」

「少し気怠そうに見えたから。そんなとこかなって。
ついイジメてみたくなった」

確かに。冷静になってみたら、お化粧する時、鏡見たけど、線は付いてなかった。やられた…。

「カフェオレにしようか、あとは…野菜多めのサンドイッチ。どう?」

「はい、お願いします」

なんだか、お家で御飯の相談してるみたいな会話だな。全然嫌じゃないし、考えた物を勧めてくれる感じが何かいいな。
…私にだけなのかな。

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