したくてするのは恋じゃない
今日のお誘いの種明かしをすれば、…誕生日なんだ、僕の。
毎年、特に気にせず過ごしてるんだけどね。ほら、もう、お祝いをしてなんて年齢でも無いから。
適当に過ごしてるんだけど。
今回は、一人じゃなく、…絵里子ちゃんと一緒に過ごしたかったんだ。
断られたく無くて…、だから詳しい説明もせず半ば強引な誘い方をしてしまった。
悪い事をしたと思ってます、ごめんね。
釈然としなかったでしょ?あんな誘い方。
ま、断られても連れて来る自信はありましたけどね。
…何も聞かず、付き合ってくれて有難う。
それだけで幸せなプレゼントを頂きました」
だからだ、今日のお姉様方…。行列の意味に合点がいった。
何処で何を見て聞いて知ったのか…今までそんな事無かったのに、今年に限ってなんだ。
今日の、沢山頂いたケーキはそういう訳で。
お客様に頂きました。
挙げ句、『夜、お食事でもいかが?』なんて誘う強者、んん、ご婦人が居たから『先約があります』と丁重にお断りしたんです」
「ごめんなさい、私、知らなくて、何も…」
少しはマスターに興味持っとけ、私…。
「日頃物凄くご親切にして頂いているのに。
後日、改めて何かご用意…」
「要らないよ。もう、貰ってるから。さっき言ったでしょ?
こうして過ごせるのが何よりのプレゼントなんだ。
有難う。頂きましたよ、最高の時間」
「でも、それでは何だか私がして貰ったみたいで…」
「僕がいいんだから、いいの。美味しい物も一緒に食べるからいいんだよ?
何を食べると言うより“誰"とが重要でしょ?さあ、食べよう」