したくてするのは恋じゃない


「絵里子、このあと暇か?っていうか、何時まで居るつもり?」

なんだ?いきなり。

「いきなり何?何時まで決まりも無いし、暇ですけど?それが何?」

「じゃあさ、晩飯どうよ」

…どうよって。解った。私に奢らせるつもりね。

「どうよって、何処に行くつもり?」

「焼肉!!」

おお、がっつりいきたい訳ね。

「別にいいけど」

こうなったら私が奢ってやろうじゃないの。

「じゃ、決まり。もう少しここで待ってろ。
俺、仕事上がりだから、ちょっくら風呂入って着替えてくるから。
すぐ戻るから。待ってろよ、帰んなよ、いいな」

待ってろって…言われなくても普通に居るし。
それにしても、いつもいつも、居ること解って来てるくらいタイミングがいいヤツだな。

「はいはい、解りました。大人しく待ってます」


はぁ…、止めた止めた。
折角のシーンが台なしになるから読むのは中止ね。
もう一つの理屈っぽい方を読む事にした。

それにしても剣吾のヤツ。公務員なんて…、口から出まかせがよく出てくるよね。
見た感じ、対極に居るようなヤツなのに。



「待たせたな!」

「うわっ、早…」

私が本に夢中になってたのかな。
割と時間は経っていた。

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