したくてするのは恋じゃない
お供の意味?


「クーッ。やっぱこれだな」

剣吾はビールを飲んでいた。私は強くないから、お付き合い気分でノンアルコールにした。

「大丈夫なの?」

「何が?」

「ほら、急な呼び出し、かかる事あるんでしょ?」

「いや、今日はもう大丈夫だ。
明日も、ひば…取らなきゃいけない休みだから、まず大丈夫」

別に明日が休みかどうかまで、気にしたつもりは無いけど。まあ、休みがあるなら、良かったよ。

「焼けたぞ」

「うん」

剣吾がお皿にタン塩を入れてくる。

なんだ割とマメなんだ…。

「ボーッとしてると無くなるぞ。そうで無くても、もう焦げちまう」

「えー、焼き過ぎたからくれるの?」

「違うだろ?よく見ろ。
焦げる程焼いてないだろ?
何考えてるのか知らねーけど…、絵里子が集中してちゃんと食わねーからだろうが
もうカルビとか焼くし。全部食っちまえ」

律儀に私の分は私の分として把握してたらしい。

サービスのキムチを摘んだ。

「いや、なぜ、今キムチ」

「あ、なんか流れで」

「流れ?」

「…言われてすぐタン塩食べたら癪にさわるから?」

「はぁ?つべこべ言わず食え、全く…冷めた焼き肉なんて、美味さ半減だろうが…っと、猫だよな?」

…何故、知ってる?
今まで一緒に食事なんて…したか?
…いや、してないと思う。

< 29 / 64 >

この作品をシェア

pagetop