したくてするのは恋じゃない
「私はてっきり、今までの同窓会とか、私が気がついて無かっただけで、剣吾が来てる時があったのかとか、グルグル記憶を辿ってたのよ。
そんな時でも無いと、一緒に御飯、なんて思い当たらなかったから。
そうよね、あの時、一緒と言えば一緒に御飯だった、になるのかな。
剣吾すぐ帰っちゃったけど」
「俺、ちょっと、トイレ」
「あ、うん」
食べるだけ食べてトンズラじゃないでしょうね…。
なんて黒い事を考えていたら、…帰って来た。
剣吾ごめん。本日二度目の謝罪、心の中で手を合わせる。
紙エプロンを着け直す。
いつも思うのだが、このエプロン。
いい大人が、赤ちゃんのようである。
お陰で脂から守られてはいるのだが…全員装着が当然のようなこの景色は、何だか滑稽な気もする。
「食ってるか?
俺、クッパ注文して来た。
あと、適当に食って帰るか」
気のせいかな。剣吾何だか静かになった、言い方が悪いか…何だか元気無くなったような?大人しくなった。
…今更だけど、黙ってると男前?…。
「クッパ?好きだけど、ちょっと待ってよね。
食べるの時間かかるから」
「ああ、解ってるよ。冷めるまで、…待つんだろ?」
「…うん、ありがとう」
「なんて事ないじゃん」
…案外、優しい?…。