したくてするのは恋じゃない


「という事で、早速行きましょうか?」

「…何処に?」

「いやいや、今の流れなら、当然絵里子ちゃんちでしょ」

「いやいや、だから、はい、どうぞ的には無理ですってば、事が事なだけに…」

「事が事なだけって‥。
絵里子ちゃんちが駄目なら、僕の家でもいいですよ?」

「そういう事では…」

「とにかく、四の五の言ってる時間が勿体ない。
行きますよ」

「ひぇー、駄目です!」

会話のキャッチボールも難しいモノです。
勉強させていただいてます。



ここは…?ん?

嘘つき…。
うちでも無ければ勇士さんちでも無いじゃない。

これって…散々戯れたせいなのか?…。
歴としたシティホテルだ。何故かホテルの部屋に居た。

気のせいか、うっすらベールがかかったような景色。

…勢いとは怖いモノだ。


勇士さんは、先にシャワーしますか?では私が先に、なんて言ってシャワー中。

カチャ。
浴室から出たようだ。
少し意外な?顔をしている。

「…もしかしたら、こうして僕がシャワーから出た時、貴女が居ないかも知れないと思っていたんですよ。
…その、…後悔させてはいけないから…、貴女に自分の意思で…逃げられる時間を作ったつもりでした。
だから僕が先にシャワーを…」

バスローブの紐を結びながら少しずつ、こちらへ…。

「こうして居てくれているということは…いいと、そう思っていいんですね?」

私は頷いていた。

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