したくてするのは恋じゃない

んん、ふ、ん、んふ…。
胸を押して抵抗してみるが無理だった。
押してる感覚が無い?

「…逃がさないよ」

あ、妖艶なこの目はヤバイ、キュンとする。

「絵里子ちゃんが悪いんだよ?色々煽るから」

首を傾げながら髪を指でクルクルされた。
なんて…ずるい顔。

ん、んん、ん。
いきなり塞がれた口づけは甘いモノに変わった。
唇を優しく食むようにされ、更に深く口づけ、絡められた、……弱い。
横になっていても腰が抜けそうだ…。

この口づけに弱いって、バレてるな、きっと…。
だって、反応確かめられながらされてる気がするもん。悪戯な顔してるし。

あっ…。彼は片手で私の両腕を頭の上で一つに拘束した。…何、されるの?心臓が高鳴った。
顎に鎖骨に唇が触れ、…下に移動していく。…ぁ。ぁ。
…ズルイ。こんなのズルイよ。あっ…ん。
身体が…のけ反りそうになる。また、彼の手に指に、唇に翻弄される。
はぁ…はぁ…、ゃ。
息があがる。身体が熱くて、…ジンジンする。
何だか可笑しくなりそう…。

拘束されていた腕が解放された。

…あっ…や…。

彼の汗ばんだ背中に腕を回す。

「あぁ、…ん。…ゃ、も、う…、駄目、で、す」

「駄目は無しでしょ?」

彼は紳士を装った狼だ。

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