したくてするのは恋じゃない
カチャ。
剣吾がお風呂から上がって来た。
スウェット、着れたみたいだ。…下はちょっと短かったか。
ガシガシ頭を拭いている。
「丁度いいタイミング。鍋も出来てるから」
「剃刀とかパンツまで、サンキュ。さっぱり、スッキリした。
…美味そうだな」
テーブルの前に座って胡座をかいた。
「でしょ?ビール、どうする?」
「あ…、止めとく。飲みたいけど一口でも飲んだら効き過ぎてすぐ眠っちまいそうだ」
「じゃあ、烏龍茶でいい?」
「ああ、それで頼む」
受け取ると一気に飲み干したから、すぐ継ぎ足した。
「私、慌てちゃって。鍋の中身、好きな物聞かずしまいだったから、ごめん、寄せ鍋にしたよ?」
「ああ、これがいい。色々食えるし」
「ご飯は?」
「少しくれ」
「了解」
はいと、お茶碗を渡す。
「ん」
何だか勢いに任せて強引にしちゃったけど、冷静になるとこのシチュエーションは、非常にまずいかも…。
お風呂入れって言って、ご飯一緒に食べて、…しかも…明日から休みだってしっかり聞いてるし…。…。考え過ぎかな…。
まあ、剣吾が元気に成れば、それでいい。
「おい?、絵里子?…おい。ボーッとしてるけど、食わないのか?
ああ、冷めるの待ってるのか」
「あ、う、うん」
そうでもあったけど、そうでも無かった。
そういう事にしておいた。