したくてするのは恋じゃない
「カーッ、食ったー。食ったぞー。旨かった。生き返った」
「大袈裟だよ」
「そうでもない、実際まともな飯、本当に食って無かったんだ。パンと牛乳とか。たまに弁当とか」
「何それ。パンと牛乳なんて、ドラマの刑事みたい、アハハ」
「……」
「……なあ絵里子、布団はあるのか?」
「ううん、あのベッドだけ」
私はベッドを指して言った。
「…お前なあ、…ったく」
「シングルじゃないよ?まあ辛うじてセミダブルだから、何とかなるでしょ?」
「なんとかなるって、…そういう事じゃねぇよ。
ったく、心配所が違ってるっつうの…」
「えっ、何?何ブツブツ言ってるの?」
「…なんでもない」
「え?」
「なんでもない」
「そう?私もお風呂入ってくるから。剣吾、適当に、冷蔵庫の中、飲み物とか、好きなの勝手に飲んでいいから。
アイスとかプリンとかも買ってあるから。
眠たかったら先に寝ててもいいよ?」
「……。ああ」