抱き寄せて、キスをして《短編》
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「アンナもシャワー浴びたら?サッパリするよ」

「いいから、『成功報酬』ってなに」

上半身裸の新太は、一瞬髪を拭く手を止めて私を見たけど、すぐにガシガシと再び拭き始めた。

「こら!言え!」

新太は髪を手櫛で整えながらフウッと笑った。

「だから、言っただろ?」

ゆっくりと私に近付きながら、新太は僅かに眼を細めた。

「俺、人生最大の賭けに出たんだよ?」

それは……聞いたけど。

「大好きで大好きで、仕方ない人の愛を手にする事が出来るかどうかの、大事な事だよ?」
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