抱き寄せて、キスをして《短編》
「三崎課長に好きとか言われた訳?」

ギクッ。

私は思わず身じろぎした。

「ダメ。アンナ、答えて」

ああ、もうっ。

観念して、キュッと新太にしがみつく。

「……言われた……かな」

僅かに新太の息遣いがした。

「……」

「……」

やだ、なにこの沈黙。

「……キスは何回した?」

「へっ!?」

私は顔をあげて新太を見つめた。

「し、してないよ」
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