抱き寄せて、キスをして《短編》
新太は唇を引き結んだ。

……凛々しくて精悍な顔立ちが、僅かにイラついて見える。

私は眉を寄せた。

「あの時、一回されただけ。新太が怒った時」

新太は表情を変えずに私を凝視している。

「ほ、ホントだもん」

新太がチッと舌打ちした。

「俺さ、アンナを離す気ないんだ、もう一生」

そう言うと、新太は私を強く抱き締めて甘く睨んだ。

「アンナは、もう俺だけのアンナだから」

「うん」

新太の、端正な顔立ち。

「今から抱くけど、文句ある?」
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