抱き寄せて、キスをして《短編》
「ごめんっ、待った?!」

座敷に上がり込んでカバンを置いた私を見て、新太は首を振った。

「俺も今来たとこだよ」

「で、話って?」

「アンナはせっかちだな。まあ、飲んでからでいいじゃん」

私は軽く頷いてから店員さんにビールを注文した。

「どう?仕事は」

新太は海外事業部。

英語が堪能で、海外の提携会社とのパイプ役を担っている。

「んー、まあまあかな」

「新太は英語がペラペラだし、そのうちアメリカに転勤なったりして」

私がそう言うと、新太はハハハと笑った。
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